(ふと目を覚ました頃、機体は疾うに着陸態勢に入っていた。窓から見える海や緑といった自然環境に耽る――でもなく、気圧変化に眉を寄せて耳抜きを行うこと暫し。レジャーではなくビジネスで乗るばかりだった飛行機に、娯楽のために搭乗したのは何年振りだっただろう。――さて機内持ち込みの小さな荷物だけを抱えて降り立った島の歓迎は男には不慣れであったが、暫く世話になる身である。とりあえず腹を満たしてから島内について聞いてみようかと、そんな心持ちで最初に手に取ったのはフルーツ盛り合わせだった。島の名物的なものは知らないが、最初からご当地品に手を出す勇気はない。暖色を放つ果物たちの載った皿を片手に、隅っこの方へ。それにしても空が広いと、上空を見上げたところでまだ抜け切らない眠気が舞い戻り、口に手も当てず欠伸をかました瞬間だった。軽い衝動があり、はっとする。皿は無事だ。)――あ。すみません。大丈夫でした?(こちらがぶつかってしまったらしい相手へ視線を送りながら、平坦な謝罪を投げた。)