(島のお社は常以上に丁寧に磨き上げ、誰の目から見ても魅力的な島に映るよう尽力することを惜しまなかった。太陽より早く目を覚まし、朝から精を出して歓迎の準備へと徹した。掃除の際に掻き集めた紅葉に火を付けて、ホイルに包んだ芋を放り込む。温かな匂いが秋の終わりを告げる頃、空を泳ぐ鉄の塊が大きな影を作った。待ち侘びた客人達の来訪に胸が躍り、尻尾が緩やかに揺れたのはなにも風の所為だけじゃなかった。然しながら癖付いたように刻まれた眉間の皴はそのままに、一人一人の顔を鋭い双眸が凝視した。勿論そこに悪い意図など欠片も無く、少しでも早く彼等の特徴を覚える為に指折り数えて「ふわふわ耳」「おっきい羽」「くるくる尻尾」と小さく唱えていた。彼等を歓迎する為のおもてなしなんて、男には出来ることも限られていたけれど。)今日は一段と賑やかになりそうだな、尊も喜ぶ。……お、(既に火の中から取り出した芋を半分に折れば、湯気を出して香ばしい匂いを辺り一帯に漂わせた。すぐ傍に居た人物の袖口を指先がついぞ掴んで、)芋が美味そうに焼けたんだ、半分貰ってくれないか?(緩めた口許は威厳なんてこれっぽっちもありはしなかっただろう。)