お手伝い出来ることはありますか?(役割の定まらない状況下で、自発的に働くのは苦手だ。各々が歓迎会の準備に駆け回る中、掛け続けた声はツアー参加者がやって来る頃にはおそらくその場にいた島の住民全員を網羅したことだろう。着々と賑わいを見せる広場の中央で、またしても手持ち無沙汰となったノアの手にはタンバリンが握られていた。たぬきちの勧めである。ゴウゴウと燃え盛る火の横で、ごきげんなメロディーに合わせてタンッタンッ――。ギャルソン姿の男が仏頂面で可もなく不可もないリズムを取る様はいささかシュールであったかもしれない。ふと、そんな折、目に留まる影があったなら、)なにかお困りですか?(仕事中「ご注文はお決まりですか?」と尋ねるのとまったく同じトーンで問う。タンバリンを打つ手を止めて、腕を下ろすとシャララと鈴の音が落ちてゆく。困っているように見えたというよりは、単なる定型句に過ぎなかった。)