(海を見ると胸をときめかせずにはいられなかった。否、祖母の居た田舎の清らかな小川や、何なら近所のお宅にある大きな池だって似たような感慨を覚えていたので、もしかすると水辺が好きなだけなのかもしれない。正午の陽射しを受け煌々と青を煌めかせる海を前に、高いヒールのブーツが砂を踏む。時折足を取られそうになる肩はゆらゆらと揺れて、両方向に伸ばした腕でやじろべえみたいにバランスを取って歩いていく。)うーー!みーー!!(山だとか、海だとか、広大な場所に立つと叫びたくなるのは生き物の習性なんだって思っている。そんな思考回路を携えたミーナが本能のままにそうするのは最早当然のことで、大きく叫んだ呼びかけめく声に返事が無いのだってまた、当然のことだ。然して、更に疼く胸中だってある。ブーツとソックスを纏めてぽいと脱ぎ捨てて、寒空に見合わぬショートパンツは捲り上げる必要すらない。ちょんと波を突っついた爪先が濡れる。)うははっ、水めっちゃ冷たぁい!さむーーい!(言葉とは裏腹にご機嫌な声音で、そのまま波を割って歩み進めてしまおう。くるぶし辺りまで浸らせ、弾ける飛沫を蹴り上げた。)