(島にお客さまがやってきてから数日。近頃のティティーの楽しみは仕事終わりの散策だった。仕立て屋が閉まったあと、まっすぐ家には向かわず島内を歩いてまわる。運が良ければ散歩の途中で誰かと行き合えるし、そうでなくとも冬の星空を眺めながら過ごす時間は、自分の夢について考え巡らす恰好のひとときだ。ぴかぴかの星灯りの下でマイデザインを練ると、なんだか素敵なものが出来上がりそうな気がするものだから。──けれども今日の散歩はほんのすこし、予定外の出来事に見舞われる。)う~~寒っ。高台は風が強いなぁ。(ぴゅうぴゅう吹き抜けていく冷たい夜風になぶられて、ファーコートの襟を掻き合わせる。公園を一周したあと帰宅するつもりが、降って沸いた冬服の案に夢中になるあまり、いつの間にか和風エリアの傍までやってきてしまっていた。住宅街から離れたこの一帯は、夜ともなると少々寂しい。)……そういえば、おばけを見たって誰かが話してたよね…(いつだったか島の住人が噂していた事を思い出し、ぶるりと首を竦めたそんな時。かさこそ、なにかの音が聴こえた気がして小さな耳をピンと立てた。聞こえたものは風の悪戯か。魚が跳ねたか。はたまた、ひとの足音か。菫色の瞳が恐々と周囲を見回す、そんな一幕。)