(ツアー参加者用に一人一軒、棲家が用意されているというのには驚いた。都会ではせいぜい土地の関係で、アパートかマンションといったところだろうに。ひとまず少ない荷物を解き、初日は備え付けのベッドで眠ることにする。旅の疲れや酔いもあって──気がつくと朝だった。いや、もうすぐで正午の鐘がなりそうな時間帯だったが。二度寝しそうになる身体をどうにか起こして、最低限の身嗜みを整えたなら外へと出よう。昨日は広場回りしか見れなかったから、他の場所を見て回りたい気持ちもあったが、まずは。)ほう、いろいろあるんですね。(『エイブルシスターズ』の看板を見つけて、中へ入る。真っ先にコートが並べてある場所へ向かい、いくつか手にとって、最終的に裏起毛のフライトジャケットを腕の中に残した。それから、)和服や……学生服まで? 見覚えのある服もあるな……(マネキンが着ている服には、あまり普通の服屋では並ばないようなものがちらほら。あらゆるニーズに応える、という意味では確かに、すばらしい店であるようには思うけれども。以前ホテルで働いていた時に着ていた制服、それとよく似た服を見つけたなら、戸惑いつつもどこか感心したような声が漏れたろう。)